遊び倒し記念評 ドリームキャスト用ゲーム「サクラ大戦」

名前は知れどもやったことの無いゲーム筆頭であったこのゲーム、ドリキャスのダンピングを機にやってみました。これまでにLF(ニッポン放送)でやった外伝的ドラマだの、テレビアニメ版だの、ゲーム以外の形でずっと触れてきた作品をついにやってみた感想は、悔しいけれど

面白い。

率直に言って悔しいけれど面白いっす。
どの辺がというと
1.キャラがこれでもかというくらい類型的。
2.話の構成がこれでもかというくらい古典的。
3.音楽がこれでもかというくらい歌謡曲的。
4.「萌え」に頼らない展開。
一つ一つ見ていくと、

1.キャラがこれでもかというくらい類型的。
類型的というと言葉が悪いかもしれないが、ぴったり分類することができるということである。すなわちお嬢、炉気味、メガネ(他のゲームで言うところのものとはちょいと意味合いが違うが)、軍人、格闘家といった具合である。それぞれがお互いに食い合わない、パキッと別れたキャラ作り。最早ネタといってもいい出来栄えである。徹底してコメディーに徹しているおかげで、この類型的なキャラクターは実現している。これがゲーム向けのキャラクター作りなのねんと感心してしまった。そしてもう一つ忘れてはいけないのはキャストが秀逸なのですよ。このキャストがきれいにネタができるキャストなんですよ。(「からくさ」の店主風に横柄に)いい仕事してますねぇ〜。まあそれはともかく、他の堅気の美少女ゲームっつーか恋愛シムっつーか、そういうものをやったことが無いので比較が出来ずに残念だが、堅気じゃないその手のゲームをやったところではキャラがパキッと別れていること自体はよく出来たゲームの常なのだが、この作品は国籍というもう一つの軸を加えたことで面白みを増している。で、そのことが音楽のつくりにも大きく影響しているのである。

2.話の構成がこれでもかというくらい古典的。
最近はどうも直線的な話の展開というものを余り見かけない。最初から最後まで一つのしっかりとした背骨の見える話というのが少ないのである。この作品の場合、少なくとも7話までは非常に筋の通った話で先が見たくなるのである。残念なことに後で詳しく触れるが7話以降の構成というのがどうもぱっとしない気がするのであるが、ここではそれは措いておいて、話全体を見た時、このゲームはまさに教科書的なわかりやすい物語の構造をもっている。すなわちテンションが最初の偽のクライマックスに向かって急上昇した後いったんガッコーンと急降下して最後に向かって思いっきり上昇するという形である。さういう訳で最後の10話でそれまでなんとなく見えてきていた話の全容が明らかになったことで膝カックンをされた人のように拍子抜けするまで悔しいながらも話に引き込まれてしまった。

3.音楽がこれでもかというくらい歌謡曲的。
この作品の最大の見所は音楽であるといってしまっても過言ではないと思う。ここのところ見た後でサントラを買いたいと思わせる映画に久しく出会っていないのだが、この作品はどの曲一つとっても(OP、ED、BGM、キャラクターソングを問わず)一回聞くと頭に残ってまた聞きたくなる。自己主張しすぎず、それでいてしっかりと芯のある曲ばかりなのである。劇中音楽のあるべき姿。特にOP、ED、キャラソンはいずれも短く(最近の曲は5分以上あることも珍しくないが、この作品の曲は3-4分台がほとんどである)、かつしっかりとしたメロディーがある。どの曲もみな違って聞こえる。この点に関しては、上のキャラクターの紅で触れた、類型的なキャラ作りと、国籍、出身地という要素が大きい。例えばエセ中国風であったり、エセ沖縄風であったり、殆どネタの粋に達するくらい誇張されている。こういったキャラと結びついた曲作りとは別に、OP,ED、「さくら」といった曲は昭和50年代以来お目にかからないような歌謡曲的なメロディーを持っているように思う。手動で曲を作っているのがありありと分かるメロディーである。因みにOPの発注時のコンセプトは「平成の青い山脈」だったらしい。「青い山脈」かどうかは怪しいが、何しろ平成に蘇った歌謡曲ではあると思う。

4.「萌え」に頼らない展開。
「萌え」が悪いといいたいわけではない。ただ最近(「おどるポンポコリン」のフシで)「なんでもかんでもみんな〜、萌え萌え言っている〜よ〜」というのが「売れる」作品の定義である気がするので、「お兄ちゃん」「ご主人様」その他諸々のクリッシェに頼らないものを見ると嬉しいのである。なんか正々堂々とキャラクターの力で勝負している気がして好感が持てるのである。

というわけでこのゲームで好感を覚えたところを書いたが、このゲームは大きな問題を内包しているということにも触れなくてはならない。上の2.の項でも触れたが、1〜7話までの話の展開と比べて8話から先がなんとなく取って付けたようなのである。その感じは大詰めになって話の結末が暗示され始めたころからますます強くなる。聖魔城が出てきた時に「あれっ、その話はどっかで聞いたよーな聞いた事の無いよーな・・・」と思った一抹の不安が最後に見事に適中したとき、自分は思いっきり腰砕けになってしまった。7話までの話のスケールとその後のスケールが余りにも激しく違うのでひいてしまtった。最後のたった3話で勧善懲悪のゲームから文学作品級の話にまで持っていくのはあまりにも乱暴である。その変化についていけないために落ちを見た時にガックリくる。折角それまでは引き付けられる展開であったのに最後の最後で台無しですよ、全く。君じゃあ話にならんよ責任者を出し給えバンバンッ!この欠陥のせいで自分の中でのこのゲームの評価は全部やり終わった後にかなり下がってしまった。

そうは言ってもやはりこのゲームはよく出来ていると思う。一昔前の「売れる」物の特徴をしっかり抑えた作品であるだけに万人受けする要素をもっている。というか、開発メンバーが「売れる」作品のフォーミュラを作り出すことを生きがいにしている面子であり、彼らが作った成功作(その裏には多くの駄作がある。名前は出さないが)であるので、見事に商業主義に踊らされているなという嫌悪感さえ乗り切れば楽しめる一品だと思う。

続編2、3を買うかどうかは現在慎重に検討中。

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